Webディレクターの仕事はAIによって奪われるのか?

ディレクションの考え方

最近ではChatGPTや生成AIが身近な存在になり、現場でも使われる機会が増えてきたように思う。以前から巷では「AIに仕事が奪われる」といった悲痛な意見が上がっていたが、もはやそれは空想の域を超えて現実的になりつつある。

そんな状況の中で、Webディレクターの仕事はどうなっていくのだろうか?やはり私たちの仕事もAIによって奪われてしまう未来が来るのだろうか?

今日は「Webディレクターの仕事はAIによって奪われるのか」というテーマについて、読者のみなさんと一緒に考えていきたい。

Web業界を取り巻くAIの状況

まずは、Web業界においてのAI活用の状況を整理してみよう。

最近ではWeb制作の現場でもAIを活用する事例が増えてきたのは確かだ。お馴染みの「ChatGPT」を使えば、議事録の作成や調査、事務タスクを簡単にこなすことができるようになった。

加えて、AIの知能が高度化したことで、事務的なタスクだけではなくより上流のタスクをこなせるようにもなってきている。例えば、ある程度の情報を事前に共有しておけば、最適なクライアント提案の流れや台詞だって考えてくれる。

また、デザイン・コーディングの領域でもAIを活用できるようになってきた。生成AIを使用すればサイトのワイヤーフレームやデザインを自動で出力することもできるし、コードもAIが自動で生成してくれるようになった。もちろん、ある程度は手直しは必要だが、制作にかかる工数はそれなりに削減できそうだ。

このように、現在のAIはこれまで人間にしかできないと思われていた(勘違いされていた)クリエイティブな作業にも対応できるようになった。まだまだ精度の改善は必要だが、近い将来、クリエイティブ系の仕事もどんどんAIに奪われていく可能性は否定できない。

果たしてWebディレクターの仕事はAIに奪われるのか?

さて、このような状況の中で、やはりWebディレクターの仕事もAIに奪われる未来が来てしまうのだろうか?

結論から述べよう。
筆者は「AIによってWebディレクターが淘汰されることは基本的には無い」と考えている。

Webディレクターはかなり幅広い範囲の仕事をする必要がある。クライアントが求めるものを丁寧にヒアリングし、どんなWebサイトをつくればそれが解決するのかを考えなくてはならない。また、プロジェクトの進むべき道を描き、クライアントや制作メンバーがそこから外れてしまった場合にはうまく軌道修正する必要だってある。

さらに、プロジェクトにはトラブルがつきものだ。トラブルが発生した場合は状況に合わせて正しい判断をし、問題を解決するために迅速に動かなければならない。

プロジェクトは複数の人間の意思が合わさって形作られるものだ。それ故に、相手の気持ちや狙いを常に考慮に入れておく必要がある。やはりこれは現時点でのAIには実現し得ないものと言えるだろう。

言ってみれば、ディレクターという職業は非常に「人間臭い」のだ。人間臭い仕事だからこそ、まだまだAIには太刀打ちできない領域なのだ。もちろん、AIによってディレクターがやっていた事務的なタスクの一部は奪われてしまうかもしれない。だが、ディレクターがこなすべき本質的な仕事は、決してAIに奪えるようなものではない。

しかし、優秀ではないディレクターは淘汰されるかもしれない。。

先ほど、結論として「AIによってWebディレクターが淘汰されることは基本的には無い」と述べた。だが、筆者はこの時、「基本的には」という表現をあえて使った。

なぜなら、一部のディレクターは残念ながら、AIに仕事を奪われる可能性があると考えているからだ。

シンプルに、AIに仕事を奪われるのは「優秀ではないWebディレクター」だ。無能なディレクターと言っても良い。

ディレクションの本質をよく理解できておらず、適切な交渉や調整、臨機応変な対応ができないディレクターのことだ。プロジェクト全体の目標を定められず、制作メンバーも混乱しながらついていくしかない。そんなディレクターであれば、AIに仕事をまるまる奪われてしまう可能性もあるだろう。

AIに淘汰されるかもしれないディレクターの特徴

ここからは、どのようなディレクターがAIによって仕事を奪われる結果となってしまうのか、その特徴について触れていこう。

①臨機応変な対応ができない

Webディレクターという職業では、常に状況に合わせて臨機応変に対応することが非常に重要だ。どんなプロジェクトでも当初の想定通りに上手くいくことは少ないし、仕事にトラブルはつきものだ。特にIT系の分野では急な仕様変更や想定外のバグなど、不慮の事態に見舞われることがよくある。

そういった時に、状況に合わせて臨機応変に対応できないWebディレクターは、もしかしたらAIによって淘汰されてしまうかもしれない。

②常に受け身

ディレクターは常にプロジェクトをリードする立場で仕事をしなければいけない。もちろん、上司から指示を受けて仕事をすることが大半だろう。ただ、自分が担当するプロジェクトのリーダーは自分自身であり、ディレクターが動かなければプロジェクトは前に進間ない。

そんなポジションの人物がもし「受け身」な言動ばかりだったら、これはもう目も当てられない…。

③コミュニケーション能力が低い

Webディレクターは現場で常にいろんな人たちとコミュニケーションを取る必要がある。クライアント、デザイナー、コーダー、上司、部下…。様々な立場の人間とその状況に合わせたコミュニケーションを取らなければいけない。

ディレクターとは、そんな複雑で面倒な作業が必要な職業だ。だからこそ個人の人柄やコミュニケーション能力が重要なわけだが、この能力が不足していると、「AIの方が優秀」と判断されてしまうだろう。

④知識が足りていない

ディレクターはそのプロジェクトを円滑に動かしていく役割を担っており、上流から下流まで非常に広い範囲をカバーする必要がある。

だからこそ、かなり幅広い知識が必要になる職業だ。例えばWebディレクターであれば、webサイトやサーバー、ドメインの知識はもちろん、デザイン、コーディング、運用保守といった細かい部分まで幅広い知識が必要になる。

こういった、「幅広い知識」を持っていないディレクターはAIに淘汰されてしまうかもしれない。AIはものすごい広い分野の知識を浅くかバーしている存在なので、それに勝つにはプロジェクトに関わる幅広い知識を、現場で使えるレベルで身につけておく必要があるのだ。

⑤人間味が足りていない

これは個人的にかなり大事だと思っているのだが、ディレクターにはある程度の「人間味」が必要だ。人間同士のコミュニケーションを通してwebサイトを作り上げていく仕事だからこそ、やはり一定の「人間臭さ」が必要なのだ。

例えばあなたがWebサイトの制作を依頼するとして、その相手が何を言っても「はい。」しか言わなかったらどうだろう?常に無表情で笑顔がなく、リアクションが少なかったらどうだろう?

そんな人の言うことを聞きたいと思う人は少ないはずだ。人はその人の「人間味」に心を開き、惹かれる。多くの人たちと関わる仕事だからこそ、自分自身の人間臭さを恥ずかしげもなく出していくことが大事なのだ。

まとめ:AIに仕事を奪われない優秀なディレクターになろう

Webディレクターは非常に多くの人たちと関わる仕事だからこそ、そう簡単にAIに奪われるような仕事ではない。ただし、優秀ではないディレクターの場合はAIによって仕事が奪われてしまう可能性もあると考えられる。

大事なのは「人間味」だ。人間にしか分からないことに気がつき、人間しか判断できないことを考える。そして、人間が持つ大きな武器である主体性を発揮し、積極的にプロジェクトを動かしていく。

それができなければ、近いうちにAIに仕事を奪われてしまうだろう。

AIに負けない優秀なディレクターになるコツはこちらの記事で紹介しているので、ぜひこちらも参考にしてほしい。

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